アヒージョの諸説
アヒージョといえば、数年前に突如訪れた“スペインバルブーム“で流行った、海老やきのこなど食材をニンニクと浸るほどのオリーブオイルで煮た“オイル煮“の一種です。
ですが昨今、現地のアヒージョだけでは飽き足らず、具材や調理法がアレンジされ、
これはアヒージョと言っていいのか?と思う料理も多く見かけます。
アヒージョは刻んだニンニクをオリーブオイルで熱したことを言い、
現地ではそこに食材を使うことで「『食材名』アル・アヒージョ」と呼ぶ。
アヒージョのメインはあくまでニンニクとオリーブオイルであり、そのオイルに食材の風味を加え、それをバケットなどのパンに吸わせて食べるのが、本場のアヒージョの食し方である。(諸説あります)
一方、日本で見かけるアヒージョは、食材にオリーブオイルとニンニクの香りをつけているという印象が強く、イタリアンのパスタソースに似た感覚なのかもしれない。
メインは具材でオイルとニンニクは調味料なのだ。
飲食店での食べ残しを見ると、
ラーメンを食べた後のスープのように、オイルだけ食べきれず残って返ってきている。
不味くはないのだけど、健康面を考えると全部飲むのは...。
そこが現地と日本人の志向の違いなのだろう。
結局、日本でアヒージョを売るにしても、本場の人たちが伝えてきたものを純粋に再現しても、食に対する考えが違うのであれば、日本人にあった料理に改良する必要があるのだと思う。
実際のところ”本場のアヒージョ”と言ってもさほど感動するほど美味しいものはなかった。
私が今まで食べた中で一番美味しかったアヒージョのレシピはこうだ。
・殻付きエビの殻を剥き、殻をフライパンで煎り香味野菜とともに煮込みながらエビの出汁を抽出し、詰める(とろみがつくくらいまで)
・フライパンで具材を炒め、一度取り出す。
・取り出した後のフライパンにオリーブオイル、刻んだニンニク、唐辛子を入れ、
弱火でじっくりニンニクの香りをオリーブオイルに移す。
・ニンニクがキツネ色になる手前で具材、エビの出汁を入れて調味する。
・カスエラなどの容器に移し、強火でグツグツさせる。
食材によっては、油で煮るよりも、フライパンで炒めた方が美味しい食材もあるので、
そういった食材は焼き色をつけて油に入れると、食材の風味とニンニクオイルの香り、両方を引き出して、具材もオイルも楽しめるアヒージョになるというわけだ。
最もポピュラーなエビのアヒージョの場合、エビと油だけでは味気なく、
純粋にエビを楽しみたいのであれば問題ないが、アヒージョという料理として感動を与えるなら、エビの殻から取るエビの出汁を入れることをお勧めする。
ちなみにスーパーではアヒージョの素という調味料も発売してるので、面倒な方はこれで済ませても良い。
とにかくパーティなどで、おしゃれな響きだからという理由だけで、オリーブオイル、ニンニク、具材だけでアヒージョを作ってしまうと、微妙な空気になってしまうので、
何かしら、調味料を足すことを忘れずに。